障害者特例とは?65歳までとそれ以後の選択肢について。

今回は障害者特例について見てみたいと思います。

そもそも障害者特例とはなんぞや?ということからお話をしていきます。

特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受けている方が定額部分の支給開始年齢到達前に障害の状態になった場合、あるいは、特別支給の老齢厚生年金を受ける前に障害の状態にあり、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に達した時は、「障害者特例の適用」を受けることができ、本人(受給権者)の請求によって翌月分から報酬比例部分に加えて定額部分も受け取れるというものが障害者特例と呼ばれている制度です。障害年金の受給権が認定日請求で認められた場合は、特別支給の老齢厚生年金がもらえる誕生日月の翌月から障害者特例の対象になります。

請求条件はあるの??

以下の3つの条件全てを満たしている方が、障害者特例を請求することができます。

  • 特別支給の老齢厚生年金の受給権を有していること
  • 厚生年金保険法に定める3級以上の障害状態にあること
  • 厚生年金保険被保険者資格を喪失していること

これら3つの条件を満たしていると障害者特例を請求することができます。

 

障害者特例は障害年金とどう違うの?

障害者特例は、障害年金ではなく、”老齢年金”としての位置づけにあります。

老齢年金なので、障害等級3級以上であれば障害者特例(別名、退職時特例)が認められ、定額部分が加算されます。
加算が始まるのは報酬比例部分を受けられる年齢からで、障害者特例による”老齢年金”として特例による加算がつきます。

加えて、厚生年金加入期間が20年以上あり、65歳未満の一定の配偶者がいる場合は、定額部分に合わせて加給年金が加算されます。
配偶者加給年金は 390,900円(令和2年度金額)。

 

障害者特例を選ぶ時の注意点とは、どの様なことに注意したらいいの?

この障害者特例により加算されるための条件は厚生年金被保険者でない(=退職している)ことが条件です。
在職中で厚生年金被保険者の場合は、障害者特例には該当しません。

障害者特例は”老齢の年金”なので、老齢年金は雑所得として所得税の課税対象になります。(障害年金は非課税。)

「障害者特例による老齢厚生年金」と「障害年金3級」どちらか一方を選択受給することが可能となります。

「障害者特例による老齢厚生年金」と「障害年金3級」は両方は選択できません。

65歳になるまでは1人1年金が原則なので、障害者特例による老齢厚生年金または障害厚生年金どちらか一方を選択することになります。
65歳になるまでに障害の程度が重くなった場合は、額の改定請求が可能です。
額の改定請求をした結果、障害等級2級以上に変更になった場合は、障害基礎年金+障害厚生年金(非課税)を選択されるか、障害者特例による老齢年金を選択されるか、これも課税額や配偶者加算などを鑑み、どちらが高くなるか試算が必要です。

雑所得として課税される障害者特例による老齢厚生年金(定額部分+配偶者加給年(条件あり))と
非課税である障害厚生年金3級どちらが実際の手取り金額として高くなるか試算する必要があります。

特に課税額については、年金事務所で特別支給の老齢厚生年金を試算してもらい、いくら課税されるのか市役所で確認しましょう。

 

配偶者を健康保険の扶養に入れたいけど要件はあるの?

健康保険の扶養に配偶者を入れる場合の要件として
・配偶者の年収が130万円未満(一定の障害がある場合や60歳以降については180万円未満)であること、
・配偶者の年収が妻または夫の年収の2分の1未満である

ことが原則です(夫婦が同居している場合)。
障害者特例での年金額が180万を超えた場合は、健康保険の扶養の対象外となります。

 

65歳になったら障害年金はどうなるの?

障害厚生年金3級を受けている方が65歳以上になった時は、その後障害状態が悪くなっても年金額の改定の請求はできません。
(過去に支給事由を同じくする障害基礎年金2級以上の受給権を有していた方をのぞきます)

 

65歳以降の年金は障害年金から老齢年金に変わるの?どちらももらえるの?

65歳以降の年金の受給選択に関しては、
支給事由が異なる2つ以上の年金の権利を有する場合、65歳以後は「障害基礎年金+老齢厚生年金」の組み合わせが可能となります。

①老齢厚生年金+配偶者加算(要件あり)+老齢基礎年金
②老齢厚生年金+配偶者加算(要件あり)+障害基礎年金
③障害厚生年金+障害基礎年金

65歳までに障害基礎年金1級もしくは2級に該当された場合は、上記の組み合わせで受給選択が可能です。
また、受給の選択はいつでも将来に向かって変更できます。

受給選択に当たっては、金額の対比だけではなく、課税対象となるか否かを考慮して選択する必要があります。

 

まとめ

  • 65歳までに病状が悪化したら、額の改定を申請する
  • 障害等級1級または2級に該当された場合は、障害者特例の老齢年金または障害基礎年金+障害厚生年金の受給選択を考える
  • 65歳以後は①~③の受給選択を考える(課税額等を考慮して)

いろいろと要件や選択肢がありますが、その時点での年齢と障害状態を鑑み、どの年金を選択するのか、手取り額としていちばん高くなるのはどの年金かを考え、年金事務所での年金額の試算とそれによる課税額の試算を市役所でしてもらいましょう。

 

日本年金機構HP
特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受けている方が、
定額部分の支給開始年齢到達前に障害の状態になったとき
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/jukyu/20181107.html

 

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