国民年金保険料の追納の話。追納期限ギリギリで年金事務所へ郵送する場合の注意点について。
今回のテーマはずばり”追納”。
最近、年金事務所から「追納に関するお知らせ」が届いたという方も多いのではないでしょうか。近頃、年金事務所がこぞって「まだ間に合いますよ!追納!」とお手紙をお送りしています。
「昔、免除申請(いわゆる保険料の減免)をしてだいぶ経つけれど、ほったらかしにしていて納めてない。将来の年金を少しでも増やすためにはやっぱり納めた方がいいのだろうけど、納める期限は来ていないだろうか…。いつまでに納めれば間に合うんだっけ?」
免除申請された方は、多少なりとも、後から減額された保険料を納めること(これを追納と言います。)ができることはご存知かと思われますが、「後から保険料を払うにも確か期限があったはず。もう期限切れで納めることはできないんじゃないかな、なんとなくモヤモヤする…。」と、時間だけが経過してなんとなく心がモヤっとている方がたくさんいらっしゃるので、今回は追納制度について押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。
① 追納期限はいつまで?
保険料を納める期限は納期限と呼ばれ、通常の国民年金保険料は翌月末納付がルールです。7月の保険料は8月末までに、8月の保険料は9月末までに納めれば未納扱いにはなりません。では、過去に免除申請をして、免除された保険料を追納する場合の納期限はいつまででしょうか。答えは10年です。10年以内であれば、年金事務所へ追納の申し込みをして保険料を納めることができます。「10年もあるのか、それならまだ大丈夫。」「えっ、学生時代に免除した期間が大学を卒業して10年になるからそろそろヤバいかも?!」など、いろいろ思われている方のために、追納に関して注意しなければならないポイントを一緒に見ていきましょう。
② 追納申し込み期限ギリギリの受付で年金事務所へ申込書を郵送する場合の注意点。
「年金事務所へ納期限10年ギリギリに追納の申込書を送ったからセーフ!」と言うのはズバリ間に合っていません。追納期限は保険料を納付する期日であるので、年金事務所へ申込書が送達しても、保険料を納めたことにはなりません。追納申込書が送達した日は、年金事務所の受付日となり、月末であれば、年金事務所が追納の納付書を発行して本人へ発送すると、翌月となってしまい、結果、一番古い月の納付期限の納付が10年を越してしまい、物理的に間に合わない(=追納の承認月とならない)ということになります。受付した日は納期限内であるが、本人に納付書が手元に届くのは納期限後となってしまうからです。
③ 追納申し込み期限ギリギリでいちばん古い月の納付がショートしてしまう。どうすればいい?
一番古い月の納付できる月が来月になると、納期限後となってしまい払えなくなる。これだけはどうしても避けたいという場合は、郵送していては絶対間に合わないため、本人が直接年金事務所へ行けば追納の納付書を即日発行してもらうことができます。善は急げということで、住所地管轄の年金事務所へ足を運びましょう。
ギリギリかどうか微妙な場合(年金事務所に申込書を郵送して、追納の納付書発行して郵送してもらうのが納期限ギリギリであるが判断がつかない場合)は、郵送しても間に合うか年金事務所へ問い合わせてみましょう。どうしても郵送では間に合わない、でも追納の納付書を即日発行してもらうために年金事務所へ行く時間がないという方は、あきらめて、翌月分からの追納申請をして、早めに申込書を送りましょう。
④ (問題)追納期限10年以内ってそもそも、10年前っていつになるのか?
ここで単純ですが問題です。平成25年7月の追納期限はいつでしょうか?
(こたえ)令和5年7月31日
現在、令和5年は平成35年にあたります。単純に10年前であれば、35-10で=25と出てきますので、平成25年が10年前ということになります。
・平成25年7月分の追納納付期限は平成35年(令和5年)7月末日が納期限。
・平成25年8月分の追納納付期限は平成35年(令和5年)8月末日が納期限。
・平成25年9月分の追納納付期限は平成35年(令和5年)9月末日が納期限。
ちょうど10年後の各月の末日までに支払えばOKということです。
「昔、学生時代に学生の納付特例で支払いを免除してもらったけど、やっぱり払っておきたいな。」など、お考えの場合は、年金事務所へ一番古く且つまだ保険料を納めることができる期間はいつなのか問い合わせてみましょう。
⑤ 追納は古いものから順番に納めないと還付となってしまうので要注意。
追納はルールとして、一番古い月の分から納めることになっています。中抜けで、途中の月から納めてしまうと、「それよりももっと前の古い月の分が残ってますよ。そこから支払ってくださいね。」といった具合で、せっかく納めた追納の保険料が還付されて戻ってきてしまいます。将来の年金額に反映させるため、本人の利益を優先させることから、古いものから順番に納めていくことにも注意が必要です。いちばん古い追納の月の分がわからない場合も、「一体いつの月の分が一番古いのか?」年金事務所へ問い合わせてみて、確認してから納めるとよいでしょう。
これは知っとこ!追納のまとめ。
その①:追納は10年以内であれば納めることができる。
その②:10年の後の当月末が追納の納期限。(コンビニ等で支払うことができる最後日)。年金事務所に追納の申込書が送達された日(=受付日)が納期限ではないこと注意。
その③:物理的に納付書が届くのが間に合わない場合は追納の納付書を即日発行してもらうため住所地管轄の年金事務所へ駆け込む。
その④:追納するときは一番古い月の分から納めないと還付されるので要注意。
その⑤:追納期間がわからない時は年金事務所へ問い合わせを。
その⑥:追納保険料は3年度超えると遅延加算金が付く。(いわゆる利息が当時の保険料に何百円かプラスされた納付書となる。)
その⑦:追納は未納ではないので、追納の納付書を申し込んでも必ず支払わなければならないというものではない。納付書を予め申し込んで手元に置いておき、結果として支払わないまま納付書の使用期限がきても問題はない。
追納できるか、できないか含めて支払える期間がわかればスッキリしますね。追納保険料は、1か月ごと、3か月ごと、全部一括で支払うなど、納付書の支払いもカスタマイズできますので、支払い計画を立て確実に払っていくことをお勧めします。
追納の申請書は以下よりダウンロードできます。また、「ねんきんネット」の画面上で追納申込書を作成することもできます。いずれにしても、郵送または申請書を印刷して年金事務所へ持参して申し込みをしましょう。
日本年金機構HP:国民年金保険料の追納制度
次回は、全額免除を追納するより高齢任意加入で納付した方が有利?全額免除のもとをとるのは20年かかる?!といった面白い観点から追納と高齢任意加入の関係についてお話をしていきたいと思います。