事実婚(内縁関係)に係る遺族年金裁定請求。半年がかりで無事支給決定。
内縁関係にあった妻に遺族年金支給決定。支給決定可否までに6か月。
弁護士I先生から遺族年金のご依頼
弁護士I先生から「遺族年金の裁定請求を手伝ってほしい。」とご依頼があり、2023年2月にご相談に来られたN様。令和2年からご主人が亡くなる令和4年まで住民票は別で、ご主人は他府県に定住しておられる状態でした。
平成元年頃から内縁関係で同居を始め、夫死亡までの約30年間、事実婚の夫婦として住民票が世帯同一である時期がほとんどなく、”事実婚の妻”として生計同一関係にあったことをいかに立証できるかが遺族年金を受給できるか否かにかかる大きなポイントになっていました。
弁護士I先生からは「死亡当時生計同一関係がないため立証は極めて難しい。お話だけでも聞いてくれないか。」とご依頼を受けたので、実際N様にお会いしてお話をお聞きすることとなりました。
事実婚における生計同一関係を立証するハードルの高さ
N様の事実婚における生計同一関係に結び付く夫婦としての実生活を詳細にお聞きし、内縁関係であった事実の洗い出しと当該事実に紐づく証拠資料を添付し申立書として年金事務所へ提出しました。
通常、遺族年金支給決定可否までは約2か月ほどで通知が届くところ、N様の事実婚に係る遺族年金支給決定可否までは約6か月かかりました。途中、書類一式が年金事務所から返戻されたり、電話による年金事務所からの聴取があるなど、支給決定可否までの道のりは紆余曲折の連続でした。
そして、半年経過してようやく「事実婚に係る遺族年金が無事認められることとなった。」と年金事務所が開所する前に年金事務所担当者から朝イチ電話でご連絡をいただきました。「ありがとう。これで夫の墓参りに行ける。ありがとうね。」とお電話で感謝のお言葉を何度もN様からいただきました。
実態で判断される事実婚(内縁関係)による遺族年金
内縁関係、いわゆる事実婚の夫婦は世の中に多くおられます。遺族年金は受給できる遺族の優先順位が相続とは異なります。「〇〇の旦那さん、〇〇の奥さん」とご近所からも周囲からも認められる夫婦であったかどうかなど、実態で判断されることは勿論のこと、杓子定規の法律ではなかなか内縁関係における遺族年金支給決定までには至らないのが実情です。事実婚の夫婦としてどのような歴史があり人生があったのか、それが事実婚の夫婦として法律上認定されるに値するものなのか、年金法に精通していなければN様の請求が認められることはなかったと考えています。
N様は内縁関係の妻として遺族年金の受給権者第1順位者となったことから、先に未支給年金を請求していた者へは返納通知が年金事務所から送付され、遺族年金と併せて未支給年金がN様に支給されることとなりました。
年金法は複雑で難しい法律ではありますが、フルパワーで裁定請求に臨み、無事にN様の遺族年金の受給権が認められました。なによりもうれしいことは、N様が亡夫と人生の苦楽を共にしてこられたことを”遺族年金が受給できる妻”として国が認めたことです。