【ご相談者からの質問】遺族年金の失権について
遺族年金を受給中のOさんから収入に関するご質問。
現在、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給しています。4年前に夫を亡くし、子ども2人を育てています。
この度、自宅の改修工事をする予定です。相続した財産の一部を処分して、家の改修工事の資金にあてる予定です。財産を処分することで、一時的に所得が850万円を超えてしまいます。
たしか、遺族年金の収入要件に850万円未満があったと記憶しています。一時的に所得が850万円を超えると、遺族年金は支給されなくなるのでしょうか。このあたりが不安です。
【ご質問の回答】遺族年金受給要件のポイント
遺族年金受給要件のポイントは、
●死亡当時
●収入が850万円未満もしくは所得が655万5千円未満
であったかどうかで決まります。
遺族年金の受給権取得後の収入に関して法律は何も触れていません。収入850万円未満とあるのは、「死亡当時」夫に生計維持されていたかどうかが支給要件として問われています。
時間軸が死亡当時でピタッととまり、そこで支給要件を見るという感じです。
仮に、ご主人の死亡当時、Oさんの年収が850万円もしくは所得が655万5千円を超えていた場合であっても、概ね5年以内に850万円未満になる、もしくは所得が655万5千円未満になる場合は、今後収入が減少することが分かる資料を添えて生計維持を申し立てることができます。
生計維持が認められれば、死亡当時の年収が850万円を超えていても、遺族年金は支給されることになります。
遺族年金の受給権取得後に収入を要件として受給権を失権することはない。
結論として、Oさんがご自宅の改修工事をするための費用として、財産処分によって一時的な所得が850万円を超えても、それを理由に受給権取得後に遺族年金の受給権を失権することはありません。
受給権取得後に失権する場合は、収入要件によるものではなく、Oさんが再婚したとき、直系血族または直系姻族以外の養子となったとき、あとはOさんご本人が亡くなったときに限られます。
日本年金機構HP:遺族年金ガイド