将来への影響は?国民年金保険料の学生納付特例について
令和2年4月から国民年金保険料は月額16,540円になりました。(昨年より130円アップ。)
保険料の支払いが困難な方は、一般の免除申請があります。学生をされている方には、学生納付特例という制度があります。すでにご存知の方も多くいらっしゃると思います。今回はこの学生納付特例の特徴と将来の年金額にどう影響してくるのかについて見てきたいと思います。
学生納付特例(略して学特)とは?
平成12年4月から開始された制度で、20歳以降学生である期間につき、申請をすることで保険料の納付が猶予される制度です。日本国内に住むすべての人は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられています。しかし、学生期間中は、アルバイト収入はあっても、なかなか国民年金の保険料までも支払う余裕はないという方が多く、平成30年度における学生納付特例による国民年金第1号被保険者数は179万人にのぼります。
このような点を踏まえ、国は、「学生さんについては、ご本人の申請にもとづき、在学中の保険料の支払いを猶予しますよ。」と言ってくれているのが、学生の納付特例です。本人の所得が一定以下の学生が対象となりますが、家族の方の所得の多寡は問わない点が特徴です。(一般の納付猶予制度は本人だけでなく配偶者の所得も勘案されます。)
学特の納付猶予は将来どんな期間になるのか?
学特を申請して承認されたけど、学生の間、保険料の納付を猶予された期間は、将来どんな期間になるのか、どう影響するのか、ここがよくわからない方はたくさんいらっしゃいます。
学生の納付特例期間は、単に保険料の支払いを免除してもらっている期間であり、10年以内に保険料を追納しなければ、将来の老齢基礎年金の額には算入されない期間となります。
【知っとこ!学特マメ知識】
学生の納付特例期間は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間(国民年金制度に参加してますよという期間)にはカウントされますが、将来の老齢基礎年金額の受給額が増えることはありません。
学生の納付猶予期間で将来の年金額はいくら減るのか?
20歳から60歳までの40年間(480ヵ月)すべての期間、保険料を納めた場合、もらえる年金額は78万1700円です(令和2年度価格)。よって、ひと月あたりのリターンは、
781,700円÷480ヵ月=1,629円 となります。
計算上は、40年間きちんと保険料を納めたら1,629円×480ヵ月分で年金額が戻ってくることになります。令和2年4月から国民年金保険料額は16,540円となりました。今年度の保険料額から言うと、「毎月16,540円納めたら、将来1,629円の年金額として返ってくる。」ということになります。年金は元をとるのにだいたい10年かかると言われるゆえんがここにあります。
学生の納付特例によって、20歳から22歳までの2年間保険料を納めなかった場合は、
1,629年×24ヵ月=39,096円
ざっくりと4万円ほど将来の年金額が減ってしまうという計算になります。
将来年金額を満額に近づけるために
10年以内であれば追納ができるということ、そのほか、60歳になってから満額に近づけたいと考える場合は、高齢任意加入という制度もあります。
追納すれば、社会保険料控除という、税金を計算するときの割引制度も使えてお得です。
今は支払いが困難だけれど、少しずつでも年金額を増やしたいと考える方は、追納や高齢任意加入という制度をぜひ知っておいてください。老齢基礎年金は一身専属制です。ご本人が生きている限り支給され、他人に譲渡する、されることはできません。
将来の安心につなげていくためにも、国民年金保険に関するいろいろな制度を知って得して活用していきましょう!
日本年金機構ホームページ 国民年金保険料の追納制度 国民年金保険料の学生納付特例制度